バトテニTOP>>長編テキスト(1日目)>>011『調査』




『相手を知る為には、まず己から。』


そう良く言われるけれど。
じゃぁ、己を知る為には一体どうすればいいんだろう?
そもそも己とはなんなんだろう?
…ボクは今、自分が誰か、わからない。
どんどん別の生き物になっている気がするし、全く変わっていない気がする。


だれか、親切な方。
出来ればボクは誰かを教えてください。











BATTLE 11 『調査』 









AM 9:45 南の集落―――エリアH-5

「…どうしよう…」
廃墟ばかりが立ち並ぶ「元 港街」だったところ。
その集落の入り口に当たる部分で、喜多は1人佇んでいた。
他の参加生徒と違い(それを喜多自身が知る由も無かったが)明確な目的地を決めていた訳ではなく、
定期放送を聞いても尚自分がそれに参加しているという事を認識する事もできず、
只、この先の自分の未来について取りとめもなく考えながら西に東にふらふらと彷徨っているうちに
ここに辿り付いてしまったといった感じで来てしまった。
はっきり言って禁止エリアにかからなかったのが奇跡と言えるような状況。
そんな手前、場所に誰かに会う約束をしていた訳でもなく、ましてや人を探す気もなかった喜多は
この先の行動をどうするべきか困っていた。
正直、非現実的な描写のオンパレード後に森の中に放り出されてどうしろと言うのか。
まぁ、誰か見知った人間がいればその人間についていけばいいのだが。

「入ったら何か絶対にあるよなぁ…。」
自ら来たのだが、喜多は入ることを戸惑った。
集落は人が集まりやすい。
共に島を脱出しようと協定を結ぼうとする人間も、その為に集まってきた者達を消そうとする悪い人間も。
「うまく会えたらいいんだけどなぁ…。」
もし山吹や青学など、何となく信頼のできそうな学校の面々とぶつかれば生き延びる確率が高くなるだろう。
が、もし信頼の取れない面々―――とりわけ氷帝の人間に当たればたまったものではない。
あのナルシーな氷帝の部長、跡部からしてあの学校は皆プログラムに乗っていそうな顔つきだ。
自分(と新渡米)が彼らにかなりの陰口を言っていた事を思い出して、喜多の顔が一気に青ざめる。
『あんな事いわなきゃ良かった』。
彼等が覚えているかどうかは兎も角、殺されるかも知れない心あたりに喜多は後悔していた。
人生真面目に生きていればよかったと思う。
「…でもま、行って、みようかな…?」
氷帝に敵がいるのは事実だ。
しかし、何も会うのは氷帝だけじゃない。むしろ好意的に出会える可能性の方が高いだろうと予想して、
高鳴る鼓動を、噴出す汗を、こわばる顔をして恐る恐る集落のメインストリートを歩き始める。
このままじっとしているのもじっとしているのでよくないだろう。
行くならどうとでもなれだ!!
「……。」
硬い石を踏みしめる感覚がやけに懐かしい。
長い事無人で放置されている為中場廃墟と化しているものの人工物の香りは未だ顕在で、
喜多の表情が多少緩む。
残された建物はどれも絢爛で、この島が昔、ささやかな繁栄を誇っていたという事をささやかに主張していた。
綺麗に残されていれば歴史的建造物になりそうな立派な家も見て取れる。
漁業で成功していた町…だったのだろうか。
しかしそれらを汚す黒い染みがそんなささやかな感動を打ち消した。
「仕方ないんですよね…多分。」
昭和の香りがする島。
しかし、ここは戦場なのだ。
「(大丈夫ですよね…俺は。)」
数年前の、生々と残る血痕の跡に無意識に額を流れ落ちる汗。
改めてこれが死のゲームである事を痛感しながら、
喜多はさっき確認した自分の武器にもう一度さっと視線を動かす。
入っているのはブーメラン。
一般に玩具として見られているそれだが、支給されたのは狩猟用に実際に使われているものらしい。
が。それはブーメランというよりは堅く短い棒といった方がいいかもしれない形状を取っていた。
説明書が入っていなければ棍棒か何かだと思っていただろう。
もちろん、狩猟用と言ってもクリティカルヒットさせるのは難しく使える武器とは決していえない。
おもちゃではないとはいえ、コレも十分ハズレ武器と言えるだろう。
…武器を使わねばならない状況になった時、この”武器”は使えるのか?
桃城の死を見ても尚、非現実な色を色濃く残すこの状況に喜多の表情が強張る。
「…。」
いつかの授業でとある教師が
『プログラムでは恐怖から気を狂わせ、自殺したり、早期決着をさせようと殺そうとする事が多い』と言っていた。
そして、『参加する事になった時、それを考えない事など絶対にできないと思え』とも。
その時は俺も大概の奴等と同じ事を思っていた。
【絶対に気など狂わない…それ以前にそんな事に巻き込まれるわけが無い』。と。
でも、実際こうやって経験してみて思うのは、気を狂わせる事がどれだけ楽な行為であるか。
人間としての理性を保ち、手にした、手に持たされた狂気を捨てる覚悟をする事がどれだけ難しいのかということ。
教師達の言っていた事が自分達の教訓だと言う事を、
それを言う事がどれだけの勇気を伴うのかを俺は今更になって気がついた。
そう。座り込んでしまった方が楽なのだ。
死ぬよりも、遥かに。
「………。」
身体に纏わりついてくる風の冷たさしか感じない集落で一人何処とも言えずに只歩いている。
こんな些細な行為ですら胸を抉り、精神を縛りつけ、恐怖を募らせていく。
呼吸が荒くなり、自分のやっている行動に後ろめたさを感じ、生理的に目頭が熱くなる。
苦しい。悲しい。辛い。痛い。
楽になりたい、でも、なる事が出来ない。
色々な感情がごちゃ混ぜになり、やがて纏わり付いていた風に流される。
気を狂わせる事が出来ればどれだけ楽になるのだろうかと思いながら、
それをする事は出来ないと心の片隅で知っている。

「俺は…。」

最後まで抗いたかった。自分を捨てたくなかった。
でも、それは無理な事なのかも知れない。
大人になる為には子供の心を捨てなければならない。
そして、俺たちはその試練を少し速く受ける事になってしまったらしい。
大人は人を殺す。冷酷非情に、冷静に。
「…………………れ?」
いつの間にか通りの突き当たり、廃屋の果てにポツンと置かれた一軒の民家の前で佇んでいた。
辺りには……何も無かった。
「…火事…………………………になったみたいですねぇ。」
辺りの地面が焼け焦げ、草がこげたまま残っている。
右を見れば山になった黒い何かに、炭となっても尚立ち続けている木の柱。
左を見れば何とか判断できる位置に焼け残った家の土台跡が無造作に放置されているのを見て取れる。
この辺り一帯が過去のプログラムで火事になり、焼けたのだと察するのは容易かった。
もしかしたら山火事らしきものが起こったのかもしれないが、ここまで小規模で収まる筈が無いだろう。
そんな事になったらこの島の位置関係上、きっと島全てを焼き尽くす火事になってしまっただろうから。
「………すごい………」
そんな中でこの一軒だけ残っていたのは、風向きや他の家と隣接していなかった事もあるのだろうが、
それでも奇跡としか言いようが無い可能性の上に偶然にも乗る事が出来たから。
まるでこの訪問を待っていたかのような雰囲気で家は立っていた。
「丁度いいや…。」
喜多は中に入ろうとドアノブをゆっくり回す。
もしこの集落に人がくれば恐らく自分同様に視線はまっすぐここに向かうだろう。

「…ここなら助けてもらえるかも知れない。」

表向きとは違った意味を孕む言葉。
喜多は思う。
誰かに襲われるか、気でも狂わない限り人の命は奪えそうにない。
そして、自分の命はもっと奪えそうに無いと。
桃城のようにはなりたくないし、させたくもない…死そのものが怖かった。
…だから、誰かが此処で休息を取っていて、その人物が恐怖や警戒心から油断した自分を殺そうとしてもいい。
できればそうなって欲しいなと思っていた。
心が歪んで、生き延びたいと思う気持ちが最大になって、
”大人”になりたくてどうしようもなくなる前に、消え失せたい。
「………………。」
幸か不幸か、ドアの向こうには家具数点が残されているだけで、生き物の存在は何も無い。
喜多は拍子抜けした気持ちから舌打ちをし、
一面カーテンに覆われて太陽の光の入らない薄暗い室内に土足のまま入り込んだ。
内部は10畳ほどの洋室が二つと和室が一つ。
台所、脱衣所、玄関等は別部屋になっていて、それなりの広さがあるのではないだろうか?
急に立ち退きを命じられ、持ち出せなかったのだろう。
殺風景な部屋のあちこちをタンスなどの大型家具が埋めている。
窓を開けるとすがすがしい空気が辺りを包み込んだ。
「何もないのかな~…。」
危険を冒してまでこの集落に、この家に入った事で覚悟が出来たからなのか。
胸に絡みついていた恐怖感が消えていくのを感じながら、タンスの中をごそごそと物色する。
「何かいいものはないですかね~…。」
いいつつ中に入っているものなどどうでも良かった。
気づいて欲しかったのだ。
背後にいるかも知れない「誰か」に、自分を知って欲しかったのだ。
そして、自分が「仕方なく」渡された運命のレールに乗らざるを得なくなる状況になることを、
彼は今最も欲していた。
仕方ないとつぶやくことで、「これがこのゲームなのだ」と自分を窮地に追い込みたかった。

誰かに会いたい。
出来ればゲームにのった奴に合いたい。
そして、殺し合いをしたい。

そして・・・

誰よりも決断に迷いがあったその人間は、
誰よりも『無難』で『軽率』で『退屈』な選択肢を選ぶことになる。



***


「(まずは学校単位でも確認しておかないと…。)」

AM10:25、東部―――エリアH-3。
絶壁沿いの見晴らしのいい高台を選びながら、室町はせわしなくノートの上のペンを滑らせていた。

理論上、このプログラムを最も少ない犠牲とダメージでクリアできる可能性は、
1:全員が一致団結して政府に攻撃を仕掛ける、
2:内部の人間の減少を防ぎつつ首輪の解除方法を探るか
のどちらかだ。
しかしどちらも無理に等しいだろう。
放送で呼ばれる名前が多くなればなるほど狂気に狂う人物は増えるだろうし、
いい加減プログラムに参加しなければならないのかもしれない…と現実を直視し始める人間も増える。
ふとした勘違いから暴動に発展することも当然あり得るだろう。
ならば、次に考えるのは「どうすれば自分が生き残る率を上げられるのか」。
答えは簡単。
先に脅威になりえる人間を適度に討つ事で力を温存し、後で弱った人間を狙うこと。
出来れば自分の手を使わず、自滅しあえるように持っていければ最高だ。
もし、後で強力な存在ばかりを残してしまえば、後々厄介な事になりかねない。
例えば追撃。例えば包囲。例えば、裏切り。
殺す人間が増えれば、それだけ相手は経験と自信を持って学習し始め、死神になる。
つまり、このゲームは立ち上がりが重要だ。
室町はそう結論付ける。
「(…とまぁ、俺自身無理でも出来れば前者を望むんだけどなぁ…)」
人を殺す方法…出来ればこんな考えはしたくはなかったが、
先ほどの放送で出された内村と柳沢の名前を聞き、
何人かがゲームに参加していると予想できるこの状況で
のんびりと可能性の低い全員での脱出ばかりを考えている訳にはいかなかった。

『2人はこれほど早期の段階で自殺をするような人間ではない。』
室町の集めたデータはそう示唆していた。

自分の提供するデータはルドルフの観月や青学の乾のように目立ちはしない。
なぜなら室町の調査の対象は『相手のテニススタイル・性格』というものではなく、『相手の深層心理』。
さまざまな状態に置かれた時、その人間はどんな対応策を講じようとするのか、
また、対人関係はどのようになるのかという、無意識の行動をまとめたものだからだ。
テニスではそれが相手の判断力、窮地に発揮される精神力、行動力の理解につながり、
この状況下ではある程度の行動パターンの認識にそれは大いに役立っていた。
「乗った人間…かぁ」
最終の柳沢は兎も角、内村は近くに伊武や石田といった仲間がいるかも知れない状況だった。
絶望し、自殺するほどの危機感は持ち得なかったに違いない。
恐らくは仲間を探しただろう。
ならば死因として最も考えられるのは「その時であった人間による不意打ち」。
付近には亜久津、跡部、越前と言ったメンバーが居るのだ。ありえない話ではないだろう。
これはあくまでも可能性の域だが、自殺を考慮するよりはよほど現実的だった。
…だから室町は考える。
誰が危険なのか、誰が安心出来るのか…もっとも自分が生き残れるかも知れない可能性を探して。

「『青学生徒心理予想―――要注意人物、乾 貞治・越前 リョ―マ』。
『ルドルフ生徒心理予想――ー要注意…観月はじめ…氷帝…跡部…不動峰…』」

不気味に増えてゆく文字の羅列。
こうして上げればつい数時間前まで仲間だった人間が全て敵に見えてくる恐怖。
しかし、考える事をやめるわけには行かない。調べ続けることを忘れてはいけない…死にたくない。
今の室町に現実逃避は恐怖だった。
目を背ければ現れる不確定要素と従わせきれない自分の迷い。
千石や南…大好きだった先輩達との思い出。
だから、ひたすら前を見定め、計画をねる頃で自分のこれから行なう行動に正当性を持たせようとしていた。
自分はこのゲームに乗る…逆に対策されて殺されるかもしれない覚悟と決意。
それに対する対抗策。
生き残りたいと願う意志がひたすらに確実に生き残る為の道筋を探る。
『この状況下で最も恐ろしい人間は自分なのかも知れない。』
だから、室町は最後の―――山吹の考察に移る前にそう結論つけた。



「さてと、最後に『山吹生徒心理予想―――要注意人物、亜久津 仁・千石 清純』…と。」
一呼吸おき、触れなかった自校に手を伸ばす。

「『亜久津 仁。
信頼した人間には優しいと言う仲間おもいな点があるが、基本は残忍で自己中心的な性格を持つ。
銃の扱いに長けており、他各種武器の使い方にも精通している。
父親は元政府関係者、政府情報を反政府に流したとして暗殺。現在は母親と二人暮らし。
その事がプログラムにどう影響するかは不明』…。」

亜久津は身体的に有利な点が多く、しかも誰よりもこういう事に対して経験がある。
彼が夜な夜な銃などの取り扱いを行なっている店に入り浸っていた事は、山吹では有名な話だ。
当然エアガンなどを撃っていたりもするのだろう・・・下手すれば実弾を。
それより何よりあの、勝利にこだわり、弱者を見下し、敗北を許さない確固たる性格が彼にはある。
それを使って顧問の伴田は彼をテニス部に短期とは言え、入れていたのだから。
死を敗北として考えたとしたならば、彼は間違い無くゲームに乗っているだろう
(実際、亜久津はゲームに乗っているのだが、それをこの時点の室町が知ることは無かった)。
そして相手が誰であろうとも間違い無く襲ってくる。それが敗北を許さない男の信念と言う奴だ。
このプログラム参加メンバーのうち、最も会いたくない人物になるだろう。
彼は最後に回すと心に決める。

「『千石清純。
…2年前、稀に見ぬ優秀な成績で山吹中に転入。様々な分野で好成績を残す。
動体視力の良さに定評があり、また運動能力も高い。
転入以前の情報、両親の詳細など殆どが不明な、プログラム一番のダークホース…」

そしてもう一人。
山吹で注意しなければいけない人物が、先の読めない笑顔を見せるエース―――千石さん。
千石さんの笑顔の裏に隠された表情は何を見、何を考えているのかを読み取る事が出来ない。
それに、風のように気まぐれなその行動は、全く予想をつけさせる事が無い。
それは無意識なのか意識なのかまでは判断しかねたが、
もし会ってしまった場合、最も警戒すべき人間となる。
―――彼は最も『演技』の上手い人物だから。
亜久津の仲間思いな点を考慮すれば、その警戒度合は尚更高まるだろう。
「…でも、千石さんはまず南部長たちと合流する気なんだろうな…。」

そんな彼の欠点というべき所は、傍に南がいる時には酷く大人しいという事。

『ねぇ~しいたけ貰ったんだけど~いる~!?』
例えば、新渡米先輩が部活終了後、千石さんに嫌いなしいたけを渡した時も。
『あ~俺、しいたけあんまり好きじゃないし……やめとくよ。』
千石さんは明らかに嫌そうな顔でしいたけを睨みつけていたけど、口は笑ったままで、口調も明るい。
…まぁ、声の方はあまり明るくなかったけれど。
『だから言ってるんだけどなぁ~。好き嫌いはよくないよ~。』
『…まぁ、そうなんだけどさぁ…。』
『一口だけでも食べなよ~大きくなれないぞ~。』
『うん…そうだね…。』
ちゃんと正論に対して納得しているようで、何処までも納得していない声調。
もちろん、どの状態でも笑顔は崩さない。
千石さんの喜怒哀楽の感情は全て笑顔の中にあると言ってもいい。
『いいじゃねぇか、貰っとけよ。…おいしいぞ、しいたけ。』
『南!!』
『え゛、ちょっ!』
『好き嫌いは駄目だぞ。』
『う~…南がそう言うんなら…貰っとくよ…。』
『じゃぁ、明日はもっともって来るね~♪』
『…っ゛!?』
『じゃぁ、そろそろ帰るぞ。明日も練習あるんだからな。』
バタン
…そして、南部長が居なくなると。
『…(行ったね…)。…にぃとぉべぇく~ん…!??いい加減にしてくれないかな…!!?』
『あ、いや~…。』
『その葉っぱ引っこ抜いて、二度とテニスできない身体にしてあげよっか…?』
『…(千石さん…顔は笑ってるのに、目と声が笑ってない…)あはは…。』
―――雰囲気を一転させて怒ってくるのだ。
『勘弁してあげてください…新渡米先輩もこんなに反省してるし…。』
『ま、可愛い後輩の喜多君が言うならそれでもいいかな~でも、当然、今日何かおごってくれるよね★』
『と、当然ね~('∀':ο)』
但し、それは本気の怒りではないのだろう。
何処かしらに余裕を感じさせた。

「……。」
新渡米さん達に言わせると、『キヨはあれでもやさしくなった方だよ~?』らしい。
1年の後半、転入直後は情緒不安定で、凄い荒れようだったとも言っていたけれど。
兎に角、そんな事がもうかれこれ2年は続いているらしい。
例えゲームに乗る気であろうとも、それを突き崩す気はないだろう。
個人の癖というものは滅多に消えない。
どうして南部長に頭が上がらないのかは解らないが、この欠点は上手く使っていくべきだろう。
この状況で千石さんがどう思ってるかなんてわかるわけもないけれども。
「出来る限り実行するような事にならないよう祈るだけですよ…。」
これ以上危険な思考に飲まれないように、と古びたノートをディバックの中にしまいこみ、
億劫そうに首を数回動かしながら、集落に背を向け、歩き出した。



集落の果てに微かに響いた銃声を聞き取る事無く。







【プログラム 1日目 残り人数 37人】





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