バトテニTOP>>長編テキスト(1日目)>>021『矛盾』

 


手がかりがなくて。生きた心地がしなくて。
…オレ、順番から言って結構仲間に会える位置にいたはずなのにさ。
でも、誰にも会えなくて。

…普通。さ。
待っててくれるんなら、すぐに会えるじゃん。でも、誰もいなかったりするんだよね。
一体何があったかなんてオレ、知らないし、待ってたけど、オレが素通りってのもあるけどさ。
…でも、普通待ってくれない?
こうやって、『もしかしたら…』って戻ってきたんだよ?オレ。

―――そう言えば。
どうしてオレ、こうやって皆を待ってたんだろ…?会おうとしたんだろう…?
裏切られるかも知れないって言うのにさ。逆に殺されるかも知れないってのにさ。
なんでオレ、求めてるんだろ。

あ~ぁ…わかんなくなっちゃったし…。







BATTLE 21 『矛盾』













「はぁ…なんで皆居ないかな…。
 ついて来るな、って言って付いてくるような奴等なのに、こうゆう時に限っていないし。
 …まったく、ほんとイヤになっちゃうよな…。」

エリアD-6。
何かと人通りの多いこのエリアで、いつもの長い独り言をぼそぼそ呟きながら伊武は仲間達を待っていた。
桜井よりも先に教室を出た為、メンバーが南の集落に集まり始めている事を知らない伊武は、
兎に角誰かに会おうとこの場所に足を向けていたのだ。

「…こうゆう時は向こうもこっちを探してるって考える方が無難だよね。
 てか探してくれてないと困るしさ。
 だから、下手に探さずに立ち止まっているのが得策だと思ったんだけど…。」
「(…面倒だなぁ…)」
『下手に動いて撃墜されるなら近くに来た人間を把握しながら待った方がいい。』
常人にしては長すぎる思考と独り言(本人は存在すら何ら思っていないが)はこのプログラム内では平均的な長さ。
それだけ皆一様に何かを考えて行動している。
それを知っている伊武は、例えつまらないことであろうとも思考を止める気はなかった。
何も考えなければ尋常じゃ無い程敏感になりつつある精神が、ブチリと音を立てて切れそうだった。
同時に今の自分を見つけることができるほど動いているのなら他の人間には容易に見つかっているだろうと
一瞬考察したがすぐにその思考は闇に消した。

『常に緊張していなければいけない…が、緊張しすぎて集中力を切らしてもいけない。』
新生テニス部になってすぐの頃、橘に言われた事を思い返しつつ目を向けるレジュメ、生徒一覧。
そこに引かれた、太い横線……内村は、恐らくそういうことだったのだろう。
「…多分、神尾とは橘さんを探すって事では一致してると思うけど、
 肝心の場所がわからなきゃなぁ…さっさと俺で決めときゃよかった。」
言いながらも警戒心だけは怠らない。
「(…厄介だよね…)」
あくまでも、伊武の中での独り言と思考は違う。
聞き取られない限りは幾ら言っても状態が変わらない事も知っているから、思考は思考で独立させて動く。
独り言はその延長線上にあるもの。
だから、その独り言が『独り言』で纏める事が出来ない、すでに『ぼやき』と呼ばれる域だと気付く事もない。
…この点ではかなり伊武は有利な立場にある。
緊張してつい相手に有利な発言をしてしまうという事がないからだ。
ぼそりと本心は独り言に洩らすが、その奥で考えている2手、3手先の事は図らせない。
そこに伊武の冷静さがあった。
―――そして、冷静さがあったところでやられる時はあっさりとやられることを彼は知っている。

「あぁ…なんか道に迷っちゃったです…。」
「…あ。来たし。」
そんな中、人を探して辺りをくまなく(と言っても目立たない程度にだが)動かしていた目についた一つの影。
脅えているのか。その影もキョロキョロと挙動不審気味に辺りを見回している。
がっちりと手で耳を押さえているらしく、パッと見では武器を所持しているようには見えない。
「…ふぅん…。」
伊武はぼそぼそと呟きながら別稼動する思考と共に、出るか出まいかを模索する。
「黒い服…じゃないね。ってことは他校か。折角会ったと思ったのに、ハズレ…やになるなぁ…。
 それにゲームに乗ってる連中だったりするんだよね。こうゆう場合って。
 あ~ぁ、一々調べなきゃいけないのか…タイミング悪いなぁ…」
「亜久津先輩…居ませんかぁ…?」
「亜久津…って、確かあのムカツク奴だよね。山吹の。
 なんか嫌だなぁ…そいつ探してる奴にアイツラの事聞くの。
 反撃受けそうだし…こうゆう時、桜井がいたら突っ込ませるのに…
 こうゆう時、神尾がいたら構わず突っ込んでいくんだけど、俺、神尾じゃないし。」



「ん?誰かいるですか?」
「あ。」



思わず合ってしまった視線。
凝視しているのを感づかれたくなくて外そうと視線を変えたのが逆に目立ってしまったらしい。
…山吹の人間と、会ってしまった。
更に面倒な事になったと伊武が髪をかきあげる。

「あのさ」
「ご、ごご、ごめんなさいです!!だから殺さないで下さい!!!」

「………。」
そして、突然の謝罪。伊武は面食らった。
向こうは自分を殺す気は無いらしいし、だからといって反撃するつもりもないらしい。
なんだ、山吹って乗ってる人間多いみたいだけど、この人は違うみたいだと根拠なくそう思う。
身長小さいから銃でも手に入れない限りやれそうにないし。
「…俺、アンタ殺す気ないし。」
いつまでも騒がれると後が面倒なので、いい加減止めようと自己主張する。
騒がれて亜久津や跡部…乗ってそうな連中が来るのはこちらが困る。
「ってか、アンタもしつこいね。そうゆうの嫌われるよ。
 そもそもさ、山吹の連中は亜久津っての含m」「あ!!」
「亜久津先輩、知ってるんですか!!だったら、会いませんでした!?探してるです。」
「………。」
言葉を遮られて伊武のこめかみが微かに(殆ど外面には現れなかったが)動く。
人の話を聞こうとしない、こういう空気の読めないタイプは苦手だ。
話を聞こうと思っててこっちが聞かれるとかどうするんだよ…なんか調子狂うなぁ。
「人の話聞けよな、ほんと。」
中学が山吹じゃなくて本当に良かったと思う。

「…ってか、それ以前にアンタ、誰?」
「あわわぁ!!ごめんなさいです!!!ボク、山吹中1年、壇太一です。よろしくです!!」

「ふうん。」
相手は山吹の後輩。らしい。
知って余計にムカつく。後輩なら先輩の話しは聞くべきだろ、普通さぁ…
「あぁ…勝手に話しちゃってすみませんです。」
思考が口に出たらしい。
わかってくれたようだし、それ以上それについて話して特に不利益も無いのでそれで許す事にする。
「…不動峰中2年の、伊武さんですよね?」
「へぇ…俺の事は知ってるんだ。」
「一応、室町先輩とかに教えて貰いましたから。」
意外と山吹中の上下関係ってないんだな…もともとそういうのあるイメージも無いけど。
「いや、会ってない…ってか、檀君だっけ?キミが初めてだし。ここ、人通り多いはずなのに…皆止まりすぎ。」
「はぁ…そうなんですか…。」
「ねぇ、教えた代わりに俺の質問も聞いてくれない?聞いてくれると助かるんだけどなぁ……」
ってか、聞いてくれないと困るんだけど。
「いやなら別にいよ?たださ、色々そっちの方が有利になってる事柄あるんだし。
 あ~ぁ…でも。ここで話すだけ話して置き去りとかされたら俺なんの為にいるかわかんないよね、あ~ぁ…」
これは威圧ではない。一応俺なりの『お願い』だ。
神尾辺りにコレをやると『深司のそれは洒落にならない』とよくおこられるけど、今は関係ない。
先輩じゃないみたいだし。今はそういうの気にしてられないし。
「はい?」
「あんさ、神尾…あぁ、不動峰の奴見なかった?今、アイツラさがしてるんだけど。」
「…え…………と…………あ。見ましたよ!!あの、石田さん…でしたっけ?タオルの人。その人なら見ました。」
「ホント?」

やっと見つけられた情報。
きっと見間違いと言う事は無いだろう。このヒト、俺の事も知ってる人間だし。
…それにさ。こう言っちゃなんだけど、鉄ってオレたちの中でも内村の次に独特な雰囲気持ってるし。
タオルなんてアイツ以外に巻いてるヒト見ないし。
てか海堂のバンダナは兎も角、タオルなんて中学生は巻かないだろ、普通。
「…はい。かなり前でしたけど。ここから南の方に行きましたです。」
「そう、なんだ…。」
「…。」

何故か沈黙が過ぎた。
『何も知らないんだから仕方ないじゃん』っていえばそうなんだけどさ…
でも、このまま鉄の情報のあったところに行く事も出来ないじゃん?
だって自分が一方的に話をききだした悪者みたいじゃないか。
なんか後味悪いんだよね。この雰囲気ってなんか。
神尾みたいにそうゆうの無視できたらいいんだけど、結構こうゆうのに弱いんだよね。
…意外に思われるかもかもしれないけど。
で、俺に話して何処となく落ち込んだ感じのする檀君の傍を離れられなかった。

「……伊武さん。」

風が2吹き位して、檀君が口を開く。
「…何?」
「ボクの話、聞いてもらえます?
 …誰かに話したくて仕方ない事なんですけど…誰にも言えなくて…。」
「あ~」
誰でも不安になるよね。話したい事ってあるよね。
そうゆう時、俺は無性に誰かに(主に神尾)に話したくなる。
何時間も使ってゆっくり話して、スッキリしたくなる。
あ~…俺も愚痴りたくなったかも。いい加減発散しにくくなってきたかも。厄介だね。ヒトの心って。
「…別に。いいよ。」
だから俺は了解を出して近くの地面に座った。
ここら辺は人通り多いけど、結構隠れる場所もあって、そうゆう意味合いでもよく人が集まりそうだった。
静かにしていればちょっとやそっとじゃ見つからないと思うし。
それにさ、照明ついてるとは言え、辺りはもう夜。下手に動く奴なんていないだろうし。
あ…さっき言ってた事と矛盾してるし。
…探してるのに見つかりにくいって、どうするんだよ。

「あ!…因みにですけど、ボクの武器、これなんで…。」
そう言って出してきたのは受験なんかで使うハチマキ。
しかもルドルフの、あの『クスクス』っていう変なヒトのみたいな長いタイプの奴。
表面には仏のマークと『無病息災』の文字。 別の意味で縁起悪いったらありゃしないよね。絶対悪い。
そもそも、これっておまもりにする事なんじゃないの?
「一緒にいてくれるんなら、預かっといてくださいで」「いらない。」
提案を即否定する。
はっきり言ってこれはハズレ武器。
このくらいの長さがあれば後ろから首に巻きつけて動きを止めれれば窒息で殺せない事もないんだろうけど、
越前君と同じくらい…むしろ小さい体でほいほい出来る芸当じゃない。
俺が貰っても確実にやれるとは限らないし。
そもそも…
「…捨てた方がいいんじゃない、それ。縁起悪いよ。
 大体そんなの持ってるから会えないのかもしれないんだし。」
「そう…ですね。」
「だいたい、はっきり言ってそれハズレ武器だけどさぁ…
 それでも不用意に出して俺が警戒するとかそういうの思わないの?
 こっちが銃でも出すんじゃないかと思って先手で攻撃したらどうするつもりだったのさ。それに―――」
思考と一致しないぼやきが思考の後を追う。
どうしてこうゆう毒舌染みた事しか言えないんだろう。
これは性格の一つって奴だけどさ。神尾の『リズムリズム』ってうるさい所とか、森の地味な所とか、
鉄のタオルを毎日違うのにしなきゃ気がすまない所とかさ。
そうゆうのと同じ様な、変えられないものだけど…さ。
「…。」
「…だけど。今の言い方は傷つけたよな。ごめん。」
「気にしないで下さいです。確かに、縁起悪いですから。」

「でも、これを持ってると亜久津先輩に会って、殺せるんじゃないかなって思えるです。」

「……殺すの?アイツを。」
湧き上がった色々な感情を表に出さないようにして問いかける。
この場で襲ってくることは無い、とは思うけど決意を聞いて反応しない奴は馬鹿だろ、と思う。
無駄にオーバーリアクションして相手の信頼をぶち壊すのもなんだとおもうし。
それに…正直、俺自身も聞いて見たかった。
だって、その身長じゃ「殺す」ってひとことだって大変じゃん?
例えば亜久津みたいのが仲間(もとい盾)になるとか、
銃…俺の持ってる、CZ・M75みたいのを持ってるとかなら話は別だろうけど。
「(あ…)」
そして、自分の武器が人を容易に殺せるものであることを思い出して、
伊武は目の前の少年から精神的な距離を離した。
ゲームに乗り気なら…この銃を渡す訳には行かない。こんな杞憂、やりたくないけどこっちは本気で死にたくない。
目の前の自殺志願とは違う。
「殺したい…って訳じゃないです。
 どっちかと言うと、二人で…皆で生きたいです。テニスがしたいです。」
「じゃあ、なんで。」
「先輩、銃の店に通いつめてました。だから、多分…いや、絶対にゲームに乗ってるです。」
何となくそれは解った。
アイツなら乗りそうだ。そんな感じがする。
恐らく今回の参加者で亜久津を知ってる人間なら大抵はそう思っているはずだ。
…あぁ、青学の河村さん?あの人は馬鹿だからそうは思ってなさそうだけど。
「でもボク、先輩の…カッコよくて優しいイメージを壊さないまま死なせてあげたいんです。」
「…。」
「先輩が人を殺して、ボクのなかの先輩が壊れないうちに…」
確かに、仲間が乗っているのを見るのは嫌だ。
神尾が?石田が?橘さんが?
…不動峰の誰を考えてもそれは酷く不快な光景だ。
そして、その矛先が自分に向いたらもっと嫌な光景になるだろう。
「(…全国に行くって、言ったのに。)」
認めたくなんかない。そして。それを見て思い出が全て壊れてしまうのはもっと嫌だ。

でも、同時にそれは身勝手なワガママだと思う。

「………。」
俺は辛そうな檀君に何も言って上げられないまま、聞いてた。
「…亜久津先輩には生きててもらいたいです。
 でも、ボクは亜久津先輩が人を殺すのを見てたくないです。
 だから、殺して、楽にしてあげたいです…矛盾してます。わかってます…
 先輩に、『乗らないで下さい』って言えたらいいんですけど…でも…」
ボクじゃむりだから。
最後の言葉は周りが静かじゃなかったら恐らく聞こえてなかった。
そこまでして会いたい、思い出を壊したくない人がいる…亜久津も少しはその辺考えてやればいいのに。
無理だろうけどさ。
「ふぅん。」
皆も俺の事、少しくらいはそう、思っていてくれてるのかな?
『深司は乗らねぇよ』って声に出して叫ぶバカが一人くらいいて、くれるのかな?
…それは、俺にはわからない事だけど。
少なくとも俺は。橘さん。神尾。石田。森。内村。桜井。皆の事、大切だって思ってる。
だから、会いたいって探してる…生半可な気持ちでは探すなんて事しないから。
「…こんなボク、変ですか?」
「どうなんだろ…俺は別に変だと思わないけど。」
この爆弾発言を変だと思わない時点で、俺の心も変になってるのか。
絶対ならないと思ってた、ゲームに乗る人間に、自分もなろうとしているのか。
「でも、もしそいつを殺して、殺した仲間は楽になると思うの?」
「なる。…そう、信じるしかないじゃないんですか?
 …きっと、亜久津先輩以外の人は乗らないって信じてます。
 だから、ボクは亜久津先輩を追います。先輩に人殺しはさせないです。」
少年が見ていた希望の先の絶望。
もしそれが自分で、神尾や橘さんや石田が乗る気で、どうしようも無かったとしたならば。
その時自分は…

「……そう。」
興味なげに言いながら俺に湧いた思いはなんだったのだろうか。


***


「…ありがとうございました。ボクの思ってた変な事、聞いて頂いて。」
「いいよ。色々と考えさせられたし。」
丁寧に礼をする檀君。
なんで俺、頭下げられてるんだろ?別にそんな事されるような事した覚え、ないんだけど。
まぁ、礼なんてされて気分の悪いものじゃないから特に何もいうことなく受けておくことにしよう。

「あの…最後にいいですか?」
「何?」
「伊武さんは…乗ってますか?ゲームに。」
「何?今更聞くんだ。何処まで平和ボケしてるんだか。
 …ってかさ、乗ってたら真っ先にキミを殺すんじゃないの?」
自ら武器を晒して、しかもこっちの武器は聞かないで好き勝手話してたんだ。
考えてなかったら見てなかったけど、その気になれば、殺す隙なんていくらでもあっただろう。
まぁ、こっちは聞かれてほいほいと答えられるようなハズレた武器じゃなかったし、
結果的にお互い傷つき合わなくてそれで良かったと思うけど。
「そうですよね。はい。じゃぁ、質問変えるです…。」


「…伊武さんは…乗る気、ありますか…?」


重い一言。
目の前の山吹の後輩が、笑顔でこっちを見ている。
人の死について痛々しく思ってるからこそ、自身の手を血に染めようとしている少年。
多分これはコレで、すっかり壊れているのだと俺は思う。
「乗るわけ…ないじゃん。」
「…」
「愚問だよ、それ。」
視線に耐えられなくて背けた。
正直わからなかった。だから問いには答えなかった。
そもそも彼は俺がここで「乗る」と断言したらどうするつもりだったのか…冗談でも、そんな思いは持たせたくない。
そして冗談でもそんな疑問、持ちたくない。
「兎に角、行くならさっさと行きなよ。」
話を変えようと思って立ち上がる。
ズボンに土が大量についてるけど、もう別にどうでもよかった。
「あ。」
なぜならその時視線を釘付けにしたのは緑の向こうの白。
街灯の反射光でしっかり見なければ見つけられないだろう微かな色の変化。

―――多分、山吹。

「…あれ…ってさ、山吹じゃないの?」
「え?」
「…亜久津かどうかは知らないけどさ、少なくとも仲間に会えるんじゃない?」
滅多に見せない笑顔で檀君に言う。
言っても普段から笑うなんて滅多にしないしこんな状況だから殆ど変わってないんだろうけど。
そんな事はどうだっていいんだ。
「あ、はいです!そうさせてもらうです!」
パタパタとかけて行く少年。
結構辛い筈なのに、俺よりも先に仲間に会えて、それなりジェラシー感じてる筈なのに、
何故かそうゆう事考えなかった。
この判断は彼の涙を増やすものかも知れないけれど。でも、いいものであると思いたい。
それは…”解答”から逃げた俺なりの贖罪だったのかも知れない。

「仲間に…会えるといいね。」
「会えると…いいですね。」

言いながら、この少年も俺も誰にもあえずに終わればいいのにと願った。
このままずっと、誰にも会えなければいいのにと思う。でも、彼は会うのだろう。そして俺は人を探す。
その先の結末を俺は知りはしないけれども。



「橘さん…。」


―――もう、2度と、会えなければ、いいのに。







【プログラム1日目 残り人数 32名】





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